上海家族 ☆☆半 2009年4月7日DVDレンタル鑑賞
韓流ドラマファンは、ドラマを見て韓国のロケ地を見るのが楽しみという図式ですが、私の場合「上海に行くので、上海の映画を観る」という図式になりました。
ツタヤに行き、上海が舞台になっている映画らしきものを4作レンタルしました。
まずは、「上海家族」というのを鑑賞。
※2003年トリノ国際女性映画祭で最優秀作品賞・最優秀監督賞を受賞した作品。
※監督のポン・シャオレン(彭小蓮)は、すでに世界の巨匠となったチェン・カイコー、チャン・イモウ(北京オリンピック開会式のプロデューサー)と同じ中国映画第五世代に属する北京電影学院の“同学”。
※上海の“老百姓”(一般市民)の生きざまを、女性の目(監督は女性)で、祖母・母・娘の三世代を軸に画ききっている。その視線は暖かいが、中国社会の、上海の現実をするどく指摘している。
高度成長を遂げる上海ではあるが、そこで生活する千数百万人のひとたちの喜怒哀楽がそこに表現されている。
※この映画の主題としては「苦労を重ねながらも将来に希望を持って日々の生活を送っている上海の老百姓を描きながら、解放後の中国の歴史にふれて、今の庶民の苦しみの根源は土地が影響を及ぼしている住宅問題であり、それはまた男性優位の社会にある」と感じた。
広い国土を持つ中国でも、高度成長した都市部の不動産市場は急成長、高騰し、老百姓はローンにあえいでいるようです。狭い国土の日本と変わらない現状のようで、家を買ったがためのローン地獄で生活を切り詰めているのが家庭不和の一因にもなっているようです。
また、男性優位の社会がまだまだ根強く、女性が離婚して子供を育てるのは大変な様子です。
※映画の感想とは、別に上海の旧市街地が舞台のため、上海の今の様子がよくわかりました。
思っていた以上に人・人・人。
広島のような地方都市に住んでいる私には、ちょっと圧迫感。
車道も、車の数より多い自転車が車と共存して車道を走ってます。
上海で運転することなどないのはわかってますが「あんなところを運転できね~」と映画の画面に叫んでました(笑)
老百姓(一般市民)の生活を描いているので、きれいな部分は皆無です。
住宅も高層ですが、古いです。しかもエレベーターはなく、階段も階段だけで単独で存在してないので、廊下を歩いて階段、廊下を歩いて階段、となってますから、非常に歩く距離が長くて、大変。
名所などの撮影もなく、母子家庭の母親の苦労が前面に押し出され、「上海で生きていくのは大変なのね」と観光気分が吹き飛びそうでした。
唯一の救いは、ラストです。
母親が離婚した父親から示談金を勝ち取り、母子で暮らせる部屋を確保します。その部屋は、母娘の二人暮らしらしく明るいテーブルセンターや花で彩られていきます。この部屋の感じだけが上海の喧騒・諸問題から離れていて、心が安らぎました。
しかし、この部屋から浦東の「東方明珠塔」「金茂大夏」が見えるんです。
いかにも上海らしい風景なんだけど、窓からあの塔が見えるのはインパクトがあるな~