おくりびと ☆☆☆半 2009年3月8日鑑賞
昨年、モントリオール世界映画祭でグランプリを獲得した頃から「いい映画だ」という評判でした。映画ファンの端くれとしては、ぜひ見ないといけなかったのですが、何が忙しかったのか今日まで観ることができなかったんですよ。
朝日新聞からの招待券で行ってまいりました。
土曜日の朝一の上映でしたが、中高年がわんさか。
60才以上は1000円なので、そのせいでしょうね。
感想としては、丁寧に製作された映画で胸に響くものがあります。
人の死に方は千差万別ですが、死そのものは平等です。故に、どの遺体にも誠意を持って接する姿に、いまの時代に忘れられつつある故人への冥福 とか 敬意を払うってことを新ためて考えさせられる内容でした。
ところで、昨年父の死というものを体験したとき、「納棺師」という方に巡り会ってないので疑問に思いました。自宅で亡くなったので、在宅診療の医師と看護師、そして訪問看護の看護師さんの立会いのもと、双方の看護師さんで湯灌をしていただきました。「娘さんもお体を拭いてあげませんか?」と言われ、少し父の体を拭かせてもらいました。
そのまま、葬儀会社の方が来られても、「納棺師」と思われる方など来られませんでした。
今回映画を観て、不思議に思ったので調べてみました。
※「納棺師」
1954年の青函連絡船洞爺丸の沈没事故で、北海道の一企業である“札幌納棺協会”(飲食チェーン「ポセイ丼」も多角経営中)が、遺族への遺体の引き渡しを手伝ったことをきっかけに、1969年から事業を展開。葬儀業者の単なる一スタッフの仕事に過ぎなかった納棺作業を、あたかも伝統行事かのように“儀式化”することで業績を拡大していった。
つまり“納棺師”という言葉は、札幌納棺協会が葬儀ビジネスの一環として名乗り始めた造語であり、仏教等との関連性もなく、ましてや日本の伝統文化でもない。
東北地方に進出したのは十数年前。仙台市の“すがわら葬儀社”が、札幌納棺協会に全面委託を申し出たのがきっかけであった。同協会は1995年に“仙台支店”を開設。関西方面などの納棺業者の進出や、納棺業を始める地元の動きもあり、納棺師に委ねる葬儀社が東北各地に広がった。東北では現在、札幌納棺協会のシェアが高く、県別で死亡者の30~70%を占める。最も高い仙台は約85%。仙台支店には20人の納棺師がいる。
現在では、東京,神戸,宮崎など全国に支店・営業所を構え、従業員は150人
映画に話を戻すと、本木雅弘は以前から演技には定評がある俳優ですが今回もやはりうまいですね。本木くんの所作がキレイなんですね。
舞とか伝統芸能っぽい所作で、そうした訓練をしてると思うますが、、とにかく納棺の儀のさいの手の動きや動作が洗練されてます。
最初のチェロ奏者としての部分も、かなり練習してアフレコにしてもまるで弾いてるかのような見事な動きです。本木くんの俳優としての根性が垣間見れる映画です。
山崎努は、いつもどおり文句なくうまい!!
ちょっと笑いを取る部分があったり、いかにも「ここで泣け」というベタな演出がありますが、そんなのを割り引いても、見て価値のある映画でした。
音楽が久石譲というところも「私のツボ」でした。